「分かりやすい文章」を、「とにかく速く」書けるようになりたい。
抽象的な話ではなく、「具体的ですぐに真似できる技術」が学びたい。
こんにちは、アキラです!
今回は、冒頭のような悩みを抱えている方々に向けて、上阪徹さんの著書「文章がすぐにうまく書ける技術」を紹介していきます。
上阪徹さんは、以前ご紹介した「10倍速く書ける超スピード文章術」(以下「超スピード文章術」)の著者でもあります。
結論からお伝えすると、「速く書く」技術の言語化という観点では、「超スピード文章術」の方が全体的に詳しいので、「速く書く」が主目的の方は、そちらから読むのがオススメ。
本書はタイトル通り「うまく書ける」にも紙面が多く割かれているため、「速く書く」技術の解説は、全体的に広く浅くといった印象です。
しかし、「超スピード文章術」の内容をより掘り下げたような箇所も一部あり、本書を読んで初めて実践できるようになったこともあります!
よって、本書をオススメできるのは、次のような方々です。
・「速く書く」だけでなく「うまく書く」技術も知りたい方
・「超スピード文章術」に共感を覚えたものの、理解(実践)しきれていない方
以下、詳しくご説明します。
本書の概要
書誌情報
出版社 | 日本実業出版社 |
---|---|
発売日 | 2023年1月28日 |
著者 | 上阪徹 |
ページ数 | 249頁 |
著者
(「超スピード文章術」の記事より引用)
著者は、ブックライター(※)を本業とされている方です。
※ブックライターとは?
「著者(魅力的なコンテンツを持っているのに本を書く時間がない人)に代わって、本を執筆する仕事」とのことです。
・23年間一度も〆切の遅れなし
・担当書籍100冊超え、累計売上200万部越え
・超速筆
例)「1月で15万字」「5日で1冊」「1時間に3,000字」
そんな著者ですが、元から速筆家だったわけではなく、かつては「300字を書くのに丸1日」かけていたほど筆が遅かったとのこと。
著者を「超速筆家」に変えた方法論は、本書でも語られています。
大まかな内容・構成
本書は、誰でも文章がスラスラ書けるようになるための方法を、3つのステップと9つの発想転換、そして43のポイントでご紹介する1冊です。
(引用:本書「はじめに」)
「3つのステップ」は以下の通り。
- 「マインド」を変える
- 「書く前」を変える
- 「書き方」を変える
「速く書く」ために特に重要なのが1と2、「うまく書く」ために特に重要なのが3という位置付けです。
書評
「速く書く」と「うまく書く」の調和がとれた解説
私が感じた本書のコンセプトは、次のとおりです。
・対象読者は、主として会社員
・「速くうまく書く」ための共通の考え方を簡単に紹介
・「書く」シーンごとに具体的なテクニックを数多く紹介する本
会社員(特に新人)で、「速くうまく書く」をあまり意識してこなかった方にとっては、「速さ」と「うまさ」をバランスよく学べる良書だと思います。
・結論から先に書く
・箇条書きを活用する
・視認性を上げる(スペースや改行)
・メールの書き方(総論)
・メールの書き方(各論:指示・謝罪・依頼)
・その他資料の書き方(企画書、スライド、出張報告書、研修レポート等)
「速く書く」をより体系的に解説しているのは「超スピード文章術」
「超スピード文章術」の速く書くための5ステップ(以下引用)に言及されていないなど、体系的な解説はなされていません(各論的に「速く書く技術」として所々で紹介されています)。
- 書く目的と読者を定める
- 素材を集める
- 素材を組み立てる
- 一気に書ききる
- 見直す
(『超スピード文章術』引用:第2章『正しい素材を集める2つのルール』)
「超スピード文章術」では得られなかった発見がある
「速く書く」をより体系的に解説しているのは、「超スピード文章術」です。
しかし、「超スピード文章術」よりも深掘りされている箇所もあり、私にとっては以下のような点が新しい発見だと感じました。
素材=事実・数字・エピソード(コメント・感想)
私は「超スピード文章術」の書評において、概要以下のようなコメントをしました。
3つの素材のうち、「(独自の)事実」と「エピソード」の違いが良く分からない
ところが、本書では「エピソード(コメント・感想)」と明確に定義されています。
「事実」と「エピソード」の違いがハッキリしたことで、素材集めの段階で意識的に両方集められるようになりました。
素材を効率的に集められるので、「構成まで含めた書く速さ」は上がったと思います。
実際に喋るイメージで書けばOK
私の場合、先ほど引用した5ステップのうち、
3.素材を組み立てる
4.一気に書ききる
この2段階で時間をかけすぎてしまう傾向がありました。
この点、本書では、「喋るのも文章を書くのもコミュニケーションツールの一種」にすぎない、といった話が出てきます。
その上で、「喋るときは無意識に、相手に合わせて伝わりやすい内容や順番で話しているはず」なので、「想定読者に喋るイメージで素材を組み立てたり、書けばいい」といったニュアンスで語られています。
確かに、私も「人に説明するとき」や「研修講師を務めるとき」は、原稿を用意しなくてもスラスラと言葉が出てきます。
しかも、有り難いことに「話が分かりやすい」と評価されることも多いです。
このことに気づいたとき、「自分は文章でコミュニケーションを取るとき、無意識のうちに、喋るときには全然意識していなかった『意味の変わらない言葉選び』に時間をかけ過ぎていた!」と気がつきました。
まさに本書でいうところの、「文章の呪縛」ですね。
この辺りの解説は「超スピード文章術」でも少し出てくるのですが、個人的には本書の方が納得できるレベルで詳しく説明されていると感じました。
矢印で大枠の構成をざっくり決めて、素材を配置していく
「どういう構成にするか」(どう素材を並び替えるか)を考えるとき、大量の素材を眺めたり順番をいじってみても、なかなか整理できずに迷走してしまうことがあると思います。
そんなときにオススメなのが、本書で紹介されている「矢印で大枠の構成をざっくり決めて、素材を配置していく」手法。
これは、一旦細かい構成は無視して、「ざっくりと、要するにどんなことを伝えたいかを文章と矢印で整理」する手法です。
例えば、本記事だとこんな感じですね。
・「速く書く」だけでなく「うまく書く」の解説も豊富(速く書くなら「超スピード文章術」の方が詳しい)。
↓
・でも、「速く書く」についても、「超スピード文章術」では得られなかった発見もあった。
↓
・そうなると、本書をオススメできるのは、「うまく書く」も知りたい人(特に新社会人)や、「超スピード文章術」に共感したけど実践しきれていない人
これで大きな構成が決まったので、あとはそれぞれの箇所に素材を配置して、細かい流れを決めていくイメージです。
まとめ:『文章がすぐにうまく書ける技術』
・「速く書く」だけでなく「うまく書く」方法も知りたい方(特に新社会人など)は、本書を一読して適宜参照するのがオススメ
・「速く書く」方法を重点的に知りたい方は、「超スピード文章術」を先に読むのがオススメ
・「超スピード文章術」に共感したものの、うまく実践できずにヒントを探している方は、本書を読むと新たな気づきが得られるかも?
個人的には、一番苦手だった「素材を組み立てる」「一気に書ききる」が改善できただけでも、買ってよかったと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!