「怒りに任せた言動により、後悔した経験が沢山ある」
「アンガーマネジメント(怒りのコントロール)のコツについて、精神論だけでなく、科学的なアプローチを学びたい」
「そもそも、”怒らない人”になりたい」
上記のような悩みをお持ちの方には、本書が役に立つかもしれません。
こんにちは、アキラです!
今回は友人からオススメされた、「脳が知っている怒らないコツ」という本を紹介したいと思います。
本書は、脳科学の専門家として1万人以上のMRI画像を見てきた著者が、脳科学や自身の体験に基づいて、
・怒っても何一つ良いことはないこと
・怒らない(怒りを鎮める)コツ
などを解説された本です。
結論からお伝えすると、上記のような悩みをお持ちの方には、「一読の価値は十分あり」と考えます。
読んだ瞬間から真似できるテクニックも紹介されており、少なくとも私は、読む前よりも「そもそも怒りを感じなくなった」場面が増えたように感じます。
そもそも怒りを感じなくなれば、以下のような事態を全て回避できるので、日常生活全般へのメリットが意外と大きいです。
・人間関係のギクシャク
・怒れなければ避けられた余計なトラブル
・怒りに任せた非合理的な判断や時間の浪費
以下、詳しくご説明いたします。
「脳が知っている怒らないコツ」の概要
書誌情報
出版社 | かんき出版 |
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発売日 | 2016年10月19日 |
著者 | 加藤 俊徳 |
ページ数 | 224頁 |
本書の大まかな内容・流れ
本書の大まかな内容・流れは、次のとおりです。
- 「怒っても何一つ良いことがない」こと
- 「怒り」の脳科学上の定義と、筆者が提唱する「8つの脳番地」
- 「怒らない(怒りを鎮める)」ための数々のコツや考え方
①「怒っても何一つ良いことがない」こと
「怒っても何一つ良いことがない」こと、逆に言えば「怒ることのデメリットがいかに多いか」について、脳科学の見地も踏まえて、これでもかというほど解説されています。
②「怒り」の脳科学上の定義、筆者が提唱する「8つの脳番地」
これについては、本書の定義を引用したいと思います。
・「怒り」とは?
怒りとは、「『自分は対処できない』という脳の悲鳴」
本書『プロローグ なぜ怒ってはいけないのか?』より
・「8つの脳番地」とは?
脳内に分布する神経細胞群を、場所ごとにおおまかな働きを分類して、「番地」を割り振ったもの
本書『プロローグ なぜ怒ってはいけないのか?』より
③怒らない(怒りを鎮める)」ための数々のテクニックや考え方
脳科学の見地を踏まえた、読んだ瞬間から真似できるテクニックが沢山紹介されています。
特に参考になったテクニックについては、【書評】でご紹介いたします。
脳科学で裏付けられた話ばかりではなく、筆者の体験ベースの話も多く含まれます。
書評
役に立った/共感できた点
脳科学に基づく「具体的な解説」と「すぐに真似できる技術」
怒りを感じている脳番地から立ち去る
筆者の提唱する「脳番地」という概念をベースとして、「怒りを感じている脳番地から立ち去る」という対処法は、斬新な切り口で興味深かったです。
特に、「何も考えずに『運動系脳番地』を使う(=運動する)」は、読んだ瞬間から真似できるシンプルかつ効果的な対処法と考えます。
筆者は「一人で目を瞑って片足立ち」を何セットか繰り返すとのこと。
その他にも「有酸素運動(1万歩歩くなど)」もおすすめされていました。
怒りを感じると「30分から1時間」は通常の状態に戻らないこと
「一度イライラしてしまうと、しばらくは冷静な判断ができなくなる」
というのは、体感的に理解していました。
しかし、脳科学の専門家である著者が、「30分から1時間」という具体的な時間を述べている点は、非常に参考になります(あくまでも目安レベルでしょうが)。
「30分から1時間」というのは相当長いので、「そもそも怒らないこと」「怒ってしまったときにこの時間をいかにやり過ごすか」がより重要となりますね。
「怒らないための考え方」について、いくつか共感を覚えた
具体的には、以下のような主張です。
・怒っても何一ついいことはない
・怒っているのはみっともない
・「怒りに同調しない」ことの重要性(思いやり)
特に印象的だったのは、「怒りに同調しない」ことの重要性(思いやり)です。
私自身、無礼な相手にはつい無礼で返したくなります。
「こんな相手に、丁寧に接する必要はない」と考えてしまうからですね。
しかし、「怒っても何一つ良いことはない」ですし、周囲からも「無礼な相手と同レベル」に見えてしまいます。
周囲から「あの人は無礼な相手に対しても穏やかだ」と見てもらえれば、高い信頼を得ることにもつながります。
今後、「怒りに同調しない」ように成長していこうと感じました。
役に立たなかった/共感できなかった点
「反射的な怒り」への対処方法が不明確
本書のテクニックや考え方に思いを巡らせる余裕もない怒り、すなわち「反射的な怒り」への対処方法については、本書を読んでも有効策が見出せませんでした。
「反射的な怒り」の例
- ぶつかられて反射的に舌打ちしてしまった
- 想定外の態度で接されたので、とっさに不機嫌な声や態度が表に出てしまった
もしかしたら、本書のテクニックや考え方が、「頭で理解できた」レベルを超えて、「体に染み付いた」レベルになれば、「反射的な怒り」にも対処できるようになるのかもしれませんが…
「筆者の体験」に基づく記述が多い(体感として半分以上?)
脳科学に基づくコツをもっと知りたかったのに、「筆者の体験をベースとした主張」が想像以上に多かった印象です(体感として半分以上かも?)。
「怒らない」という観点からは、人生哲学や精神論の重要性も理解できるのですが、いまいち説得力を感じない記述がいくつか見受けられました。
まとめ:「脳が知っている怒らないコツ」
- 怒っても何一つ良いことはない
- 脳科学や筆者の体験をベースとした「怒らないコツ・考え方」が豊富
- 「筆者の体験をベースとした主張」に、どこまで共感できるかが評価の分かれ道?
総合的にみると、冒頭にもお伝えしたように、正直「絶対オススメ」とまでは言い切れません。
とはいえ、すぐ真似できるテクニックも紹介されていますし、個人的には「筆者の体験をベースとした主張」も概ね共感できたので、怒りのコントロールという観点からは有益でした。
冒頭のような悩みを抱えている方にとっては、「一読の価値は十分あり」です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!