書評

【書評】「10倍速く書ける超スピード文章術」はライターやブロガーにもオススメの最強速筆本かもしれない

みなさんは、「文章を書くスピード」に関して、次のような悩みを感じたことはありませんか?

箇条書きはできるのに、文章にしようとすると手が止まる

1行書いては消したり推敲してしまい、一向に先へ進めない

『書く↔︎調べる』を繰り返してしまう

『一旦最後まで書いてから完成度を高めるべき』と頭では分かっているのに、いつも時間ギリギリまで白紙(or箇条書きレベル)の箇所がある

今回の記事は、ブックライターの上阪徹さんが書かれた「10倍速く書ける超スピード文章術」の書評です。

結論からお伝えすると「伝わる文章を速く書く」という観点からは、今まで読んだ本の中でも間違いなく1、2を争う良書でした。

Webライターやブロガーにとって、「伝わる文章を速く書く」能力が極めて重要であることは言うまでもないでしょう。

本書はWebライターやブロガーはもちろん、本業などで日常的に文章(メール・日報・議事録・報告書・パワポ資料など)を書く機会が多いすべての方にオススメです!

それでは、以下詳しくお伝えしていきたいと思います!

著者について

上阪徹さん(以下「著者」)は、ブックライター(※)を本業とされている方です。

※ブックライターとは?

「著者(魅力的なコンテンツを持っているのに本を書く時間がない人)に代わって、本を執筆する仕事」とのことです。

著者のスゴいところ(本書プロフィールより)

・23年間一度も〆切の遅れなし

・担当書籍100冊超え、累計売上200万部越え

・超速筆

例)「1月で15万字」「5日で1冊」「1時間に3,000字」

そんな著者ですが、元から速筆家だったわけではなく、かつては「300字を書くのに丸1日」かけていたほど筆が遅かったとのこと。

著者を「超速筆家」に変えた方法論こそが、本書で語られている「素材文章術」です。

「素材文章術」とは?

【結論】「どう書くか」ではなく「何を書くか」(素材)だけに集中

本書で語られている、速く書くための秘訣は極めてシンプルです。

それは、「どう書くか」ではなく「何を書くか」(素材)だけに集中すること

素材」の定義については、本書より引用します。

素材とは3つ。

  1. 「独自の事実」
  2. 「エピソード」
  3. 「数字」

です。
つまり、読み手に「これを伝えたい」と思う内容そのものを指すのです。

(引用:第1章『10倍速く書ける「素材文章術」』)

 

素材に集中すべき理由は、ビジネスでは上手い文章など必要なく、読者に伝わる文書が書ければ良いから

本書では、文章は素材が9割(素材を並べたらほぼ完成)であることを論証するために、豊富な具体例(著者の過去記事、新聞記事など)を使って説得的に述べられています。

【補足】「素材文章術」の5ステップ

「素材文章術」の具体的な5ステップ(以下に引用)についても、各章ごとに詳細な説明(趣旨・具体例・筆者のノウハウ)がなされています。

  1. 書く目的と読者を定める
  2. 素材を集める
  3. 素材を組み立てる
  4. 一気に書ききる
  5. 見直す

(引用:第2章『正しい素材を集める2つのルール』)

最終章では「実践編」として、文字数に応じた作成手順例も解説されています。

いずれも読んだ瞬間から即活用できる「素材」の宝庫です!
ぜひ本書をお手に取って、詳細をお読みください!

レビュー

総評(【超オススメ】)

冒頭でお伝えしたとおり、「伝わる文章を速く書く」という観点からは、今まで読んだ本の中でも間違いなく1、2を争う良書です。

「素材文章術」の本だけあって、まさに「素材の宝庫」というべき本でした。
内容は極めて具体的で、「読んだ瞬間から真似できる」部分が多いだけで読む価値あり。

冒頭に掲げたような悩みを持っている方には、絶対にオススメ(個人的にはマストバイ)です!

特に共感できた点

5ステップ

「文章を速く書くコツ」として、次のような言説をたまに目にします。

・書きながら悩まないこと

・「考える時間」と「書く時間」を分けること

本書で紹介された5ステップは、これらと同じ方向性の話だと理解しました。

本書では、各ステップの「解説の解像度が高い」「内容が極めて具体的」であることから、同様の言説の中で一番「納得感」「自分が実践しているイメージ」が得られた気がします。

①書く目的と読者を定める

Webライターやブロガーの方なら、いわゆる「ペルソナ設定」の話として、「書く目的と読者を定める」ことの重要性は十分ご理解されていることと思います。

私が特に興味深かったのは、文章を「速く書く」という観点からも必須であることが、「②素材を集める」や「③素材を組み立てる」とも密接に絡めて、説得的に展開されていると感じた点です。

④一気に書ききる

あとで推敲するのだから、いきなり完成系を目指さずに一旦最後まで書ききる。

誤字も文字数も気にせず、追加で調べたいことが出てきても後回しにするということです。

個人的には、このステップが一番苦手な部分でした。

本書を読んでだいぶ意識するようにはなりましたが、今でも油断すると誤字を直したり表現が気になって手を止めたりしてしまいます…

ここは性格も影響してくると思うので、時間をかけて矯正していきたいですね。

いまいち共感できなかった点

「何を書くか」だけに集中する

前提として、「速く書く」という観点からは完全に同意します。

読者への価値提供」という観点からも、「何を書くか」に集中して速く書いて、どんどんアウトプットしていく方が遥かに重要であることも認めます。

「どう書くか」は、書き手の自己満足で終わる可能性もあります。「読者への価値提供」という観点からは、こだわりすぎるのは効率が悪いのかもしれません。

ただ、これらを重々理解した上で、「文章を書くことで食べていきたい」と考える身としては、「どう書くか」を追求する姿勢は完全には捨てたくない(捨てるべきではない)と感じました。

この気持ちを胸にしまい込みつつ、まずは「速く書けるようになる」ことを意識しつつ、ブログの記事更新やライティング案件の数をこなしていきたいと思います。

素材の3分類

3分類の各要素が素材(文章の中身)であることは、異論なしです。

しかし、「3つに分類されること」の説明が不十分であると感じました。

例えば、「独自の事実」と「エピソード」の違いが良く分からないなど、いわゆるMECEではない感が強かったです。

MECE(ミーシー)とは、「漏れなくダブりなく」といった意味で、

Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略です。

「ですます調」と「である調」の意図的な混在

文章にリズムを作るテクニックとして紹介されており、本書も「ですます調」と「である調」が一部混在しております。

これは好みの問題だと思いますが、私は「文体を変えられるとリズムが乱されて読みづらい」と感じました。

文体が統一された文章を読み慣れているので、「誤字を見つけてしまった」のに近い感覚というか、一瞬止まってしまいます…

ですます調」+「体現止め」(私もよく使います)とは別のお話です。

 

「素材」以外の文章が多いと感じた具体例あり

「文章は素材が9割(素材を並べたらほぼ完成)」のはずなのに、「素材以外の文章が占める割合が多いなぁ」と感じた具体例がいくつかありました。

具体的には、最終章「実践編」の例文です。

素材以外の文章は「説明不足を補うための文章」(補足や例示など)とのことですが、素材以外の文章が多い具体例が出てきたので、次のような「もやもや感」が拭えませんでした。

・素材以外の文章を速く書くコツは?

・素材以外の文章がこんなに長いと、結局「何を書くか?」で悩まざるを得ないのでは?

「素材以外の文章を速く書くコツ」は、第6章で一応説明されています(「説明不足を埋める」「専門用語は噛み砕く」など)。

しかし、他の章に比べるとかなり抽象度が高いので、ここは「読んだ瞬間から真似できる!」とは正直感じられなかった部分です。

「10倍速く書ける超スピード文章術」の書評まとめ

本書の要点

・「どう書くか」ではなく「何を書くか」(素材)だけに集中する!

・具体的な手順は5つ!

色々書きましたが、「読んだ瞬間から真似できる」部分が非常に多いので、冒頭に掲げたような悩みを持っている方には、「マストバイ」と言い切れるほどオススメできます!

未読の方はぜひ!

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