書評

【書評】会話が苦手で続かない人にオススメの一冊『雑談の一流、二流、三流』

桐生稔【著】「雑談の一流、二流、三流 」(明日香出版社)を読みました。

本書を一言で紹介するならば、

雑談によって人から好印象を抱いてもらうための「本質的な考え方」と「具体的なテクニック」がバランスよく学べる本。

本書を特にオススメしたいのは、次のような方です。

知り合った当初は定型ネタ(自己紹介など)で話せるけど、徐々に会話ネタが減り、最終的には挨拶するくらいの関係になってしまう人。

総論:「雑談力」の重要性

「人間関係を築くこと」、言い換えれば「人と仲良くなること」は、社会で生きていく上では避けては通れない問題です。

学校の友人や仕事の同僚など、「一定程度の関係が強制される相手」であれば、少なくとも表面上仲良く付き合うのは、それほど難しくないかもしれません。

一方、「表面上仲良く」を超えて深い関係を築くのは、勇気がいる上に正解もないので、多くの人にとって悩ましい問題だと思います。

人間関係に正解はないですが、仲良くなるための一要素として「楽しく雑談できること」が挙げられるのではないでしょうか。

筆者は新卒入社3ヶ月で営業成績が悪くて左遷されたにもかかわらず、以下のとおり雑談の力で周囲から雑大な信頼を獲得されています。

・左遷後に既存顧客との雑談に力を入れていたら、1年後にエリアマネージャー、2年後に全国で売上達成率ナンバー1。

・音楽学校の受付スタッフに転職後、講師と雑談で盛り上がっていたら、入社3年後に事業部長。

本書は、そんな著者の「楽しく雑談するノウハウ」が詰まった本です。

「読んだ瞬間から使える具体的なテクニック」はもちろん、応用力を身につけるための「楽しく雑談するための本質的考え方」も紹介されています。

以下、本書で特に印象に残った箇所について触れていきます。

雑談以前に「話しやすい雰囲気(表情)」を作る

一言でいえば、顔を見た瞬間に「会えて嬉しい!」を全力で表現する。

例えるなら、ご主人に会えた子犬のようなイメージ!

自分に置き換えてみると、実際これをされて悪い気はしないと思います(不自然な作り笑いとかは別として)。

周囲のコミュニケーション巧者を見回しても、多くの方から好かれている人は、会話を始める前から楽しそうに接している気がしますね。

楽しく雑談する「考え方」と「具体的なテクニック」

考え方

私の理解を一言で表現するなら、「相手への興味と敬意」です。

本書で紹介されている具体的テクニックは、すべてここから導かれます。

本書のテクニックの大半は、質問を起点に楽しく雑談する技術です。
つまり、「どんな質問をするか」「会話を終わらせずに広げる手法」などが重要になってきます。

もちろん、本書のテクニックを表面上取り入れるだけでも、雑談を盛り上げやすくする効果はあると思います。

しかし、雑談は完全にマニュアル化できるようなものではありません。

雑談力を本当の意味で身につける、つまり不自然な場面でテクニックをそのまま使ったりせず、応用を効かせて自然と振る舞えるようになるためには、

相手への興味や敬意」を持ち、どのような対応を取るべきか臨機応変に対応する

が必要不可欠と考えます。

具体的なテクニック

読んだ瞬間から使えそうな、特に役立つと感じたものは以下のとおり。

(1)話題は必ず相手を主題にする

人が一番興味あるのは自分だし、自分のことを話したいという欲求を持っている。

筆者によれば、雑談が上手な人の会話を注意深くみると、必ず相手を主題にして話を振っているとのことでした。

(2)挨拶に二言付け加える

挨拶だけで会話が続かない人は、このテクニックが一番即効性があると思います。

「挨拶に一言付け加えよう」と言われることもありますが、実体験では一言だけだと会話がすぐ終わる場合も多々ありました。

「おはようございます。今日めっちゃ寒いですね!」

はい。確かに寒いですね…」で会話が終わってしまうようなパターンですね(私もこんな会話を何度も繰り返したことか…)

これに対して、二言加えるイメージは以下のような感じです。

「おはようございます。最近暖かくなりましたね。どこかお出かけとかされました?」

「おはようございます。昨日は(飲み会)ありがとうございました。⚪︎⚪︎さんお酒めっちゃ強いですね!」

ここでも「(1)話題は必ず相手を主題にする」を意識!

 

(3)去り際に具体的なエピソードを一つ話す

去り際の挨拶で、その日相手が話したエピソードに言及してお礼を伝える、これだけ。

「今日はありがとうございました。特に、あの⚪︎⚪︎のお話が一番興味深かったです。また続き聞かせてくださいね!」

自分が言われた側なら絶対嬉しいし、今日からでもすぐに実践できるはずです。

ただのお世辞ではなく、「自分の話を本当に真剣に聞いてくれていて、興味を持ってくれた」感が伝わりやすいのではないでしょうか。

これも、相手への興味や敬意の表れですね。

 

(4)15秒〜30秒で相手にボールを渡す

自分だけ喋りすぎず、長くても30秒程度で相手にボールを返す。

 

(5)5つの話題

相手を主題にできる話題を探すときは、「人が毎日する5つのこと」(食べる、寝る、体を動かす、お金を使う、働く)から探すと良い。

 

(6)話題を広げる、進める、深める

沈黙したときに焦って新しい話題を振ったものの、一問一答みたいになって余計気まずい空気になった

自分も含めて雑談が苦手な人は、一度はこういうシーンを経験したことでしょう。

本書では、焦って新しい会話に飛びつくのではなく、「既存の会話を広げたり、深めたり、進める質問、連想して話題をつなげる」手法が推奨されています。

 

まとめ:「雑談の一流、二流、三流」

・本書は、雑談によって人から好印象を抱いてもらうための「本質的な考え方」と「具体的なテクニック」がバランスよく学べる本。

・楽しく雑談するための本質的な「考え方」は、「相手への興味と敬意」。

本書を読んだことで、「なぜ自分は雑談が苦手なのか」がよく理解できた気がします。

具体的なテクニックが豊富に紹介されているので、「昨日よりも少しだけ雑談上手になっている自分」がイメージしやすいのも良いですね。

一方、テクニックを真似するだけでは雑談上手になるのが難しいことも、改めて実感できました。

「相手への興味と敬意」をすぐに身につけるのは容易ではありませんが、雑談アレルギーを少しでも解消してくれただけでも、本書と出会えてよかったです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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