書評

【書評】「読書=投資」と考えて多読しよう!『レバレッジ・リーディング』

忙しくて、本を読む時間がない

何冊も本を読むよりも、1冊をじっくり読み込むべきでは?

読書後しばらく経つと学んだことを忘れて、結局元の自分に戻ってしまう。

今回はこのような悩みを持つ方に向けて、『レバレッジ・リーディング』という本を紹介したいと思います。

本書は一言でいうと、「読書=投資活動」と考えて、投資効率を最大化させるための読書術を学べる本です。

私は、今でこそビジネス書や文章本の多読を趣味としています。

しかし、元々は冒頭のような悩みを抱えながら、「どうせ沢山買ってもそんなに読めないし…」と言い訳をしていました。

本書は、そんな自分が「収入の15%以上は書籍代に使い、年間150〜200冊を読む」ようになったキッカケを与えてくれた印象深い本です。

それでは、詳しく紹介していきます。

本書の概要

書誌情報

出版社 東洋経済新報社
発売日 2006年12月14日
著者 本田 直之
ページ数 157頁

大まかな構成

本書は全4章で構成されています。

私の言葉で各章の内容をまとめると、以下のような感じです。

1章:「読書=投資活動」という発想

2章:本の探し方

3章:本の読み方

4章:読書後のフォロー

書評

読書=投資活動

「読書は自分への投資」といった言説は、本書以外でも見聞きする機会が多いのではないでしょうか。

一見すると、何ら目新しい主張ではないようにも思えます。

ところが、私は今でも、本書以上に「読書=投資活動」を説得的に説明できている本はないと思います。

例えば、本書は以下のように、「読書の全過程を投資活動になぞらえた解説」が豊富です。

・「投資物件探し」の発想で、効率的に本を探す。

・「投資効率の最大化」の発想で、1冊の16%を押さえればOKと割り切る。

・「損切り」の発想で、大量に購入してダメ本は即捨てる。

・「利益確定」の発想で、読書後のフォローにより本から確実に利益を得る。

私の場合は、もともと株式投資をしており、投資の考え方(損切りの重要性など)が性に合っていたことも、本書に感銘を受けました。

特に投資に興味がある方は、本書を読めば「読書=投資活動」の考え方がきっと腑に落ちるはずです!

本を読まないから時間がない

忙しくて本を読む時間がない」と思っている人は、とても多いのではないでしょうか?

ところが、本書に言わせればこれは全くの逆で、「本を読まないから時間がない」そうです。

その理由を私なりに要約すると、「本を読まない人は、他人の経験や知恵から効率的な方法を学べていないので、何事も遠回りをして時間が足りなくなる」から。

著者によれば、「レバレッジ・リーディング」で本を読む量が増えるにしたがい、いわゆる累積効果で、本を読む時間にどんどん余裕が出るとのことです。

(システム化された)読書後のフォローの重要性

本書における「多読」の目安は、最終的に「1日1冊以上、年間約400冊」。

当然「いかに速く本を読むか」も重要なのですが、ただ「本を速く沢山読め!」で終わらないところが、本書のポイントです。

あくまでも「読書=投資活動」なので、投資した時間と費用を確実かつ効率的に回収しなければなりません。

そのための手法が、「(システム化された)読書後のフォロー」です。

詳細は本書をお読みいただくとして、私の言葉で要約すると以下のとおり。

①重要だと感じた箇所、思いついたアイデアをメモに書き写す。

②メモを常に持ち歩いて、スキマ時間に繰り返し読む。

③メモを読むだけでなく、実際のビジネスで実践する。

決して「読みっぱなし」にせず、何度も読み込んで実際に知識を使ってみること。

ここまでやってようやく、「本から学んだ知識経験が自分の体に染み付く」、すなわち「投資した時間と費用を回収できた」と言えるわけです。

「わざわざメモにまとめなくても、良い本を読み返すだけで良いのでは?」

こう感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、著者によれば、「メモを作成したあとの本は出涸らし」なので、よほどの名著中の名著以外は「同じ本を二度読まない」のが原則。

実際、1日1冊レベルの多読を続けていくと、読み返したい本が溢れて回せません。

しかも、メモに書き写すことで「この本から何を学んだか」が明確になります。

漫然と本を読むよりも、1冊の本から少しでも確実に学べるメリットがあるのではないでしょうか。

投資効率を最大化するための「16%ルール」

読書が好きな人の中には、「買った本は隅々まで読み込まないともったいない」と考える人もいるかと思います。

ところが、本書にとっては「読書=投資活動」なので、「投資効率」を何よりも重視します。

だからこそ「多読」ですが、「1冊の本」の読み方でも投資効率を考える必要があるわけです。

具体的には、いわゆる「80対20の法則(パレートの法則)」が読書に応用されています。

パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「パレートの法則」より

ざっくりと紹介すると、次のような理屈です。

・本全体の価値の80%は、全体の20%から生み出されている。

・その20%の80%(=16%)を押さえれば、その本から学ぶべき内容は押さえられたと考えてOK。

本書ではこれを体験するために、「流し読みで気になった箇所をざっと読んだあと、隅から隅まで精読してみる」方法が紹介されています(おそらく新しい気付きはあまり無いはず)。

確かに、「投資効率」で考えるなら、「その本の最重要ポイントを最短で押さえて、メモに抽出し、どんどん次の本に進む」のが最適解だと思います。

元々本をじっくり読むのが好きだったので、心情的には今でも違和感が残るものの、極めて合理的な考え方なので納得感は強いです。

「紙の書籍」以外は各自工夫が必要

本書では具体的な本の読み方として、

・本に線を引く

・ページの端を折る

・思いついたことを書き込む

など、本を汚しまくることが前提の手法が紹介されています。

「読書後のフォロー」でメモを作りますが、ページが折られた箇所の下線部をコピペしていくだけで済むので、効率の良い手法だと紹介されています。

しかし、これらはKindleなど電子書籍ではそのまま使いにくい手法

もちろん電子書籍でも線は引けますし、インデックスやメモの挿入も可能ではあります。ただ、紙の書籍に比べると一般的にはスピードが落ちてしまうので、多読との相性がやや劣る感は否めません。

私の場合は、満員電車や育児などスマホを触るくらいしかできない時間も多かったり、物理的に荷物を増やしたくないので、電子書籍で多読しています。

本を読みながらマーカーだけ引いておき、PCが使えるときに二画面でKindleとメモアプリを開いて、マーカー箇所をコピペすることが多いですね。

このように、紙の書籍以外の手法は紹介されていないので、各自の環境に合わせて工夫する必要がある点はご留意ください。

まとめ:レバレッジ・リーディング

読書=投資活動

・「本を読む時間がない」は間違い、「本を読まないから時間がない」

・本全体の16%を押さえればOK

・投資から利益を回収するためには、読書後のフォローが最重要

本の扱い方から読み方まで、読書に対する世間一般の常識をことごとく覆してくれた、思い入れの深い一冊です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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